2001年 第3回東アジア競技大会 サッカー競技
College Soccer Central


決勝トーナメント 日本−韓国戦、日本−オーストラリア戦 戦評



準決勝 日本−韓国戦 戦評
 
公式記録
試合レポート


韓国戦システム  永遠のライバル。そして前回大会優勝の韓国との準決勝は、120分間の壮絶な戦いとなった。ほぼベストメンバーでスタートした日本は、鋭い出足からのアプローチで先手を取り、ツートップの大田の高さ、深井のスピードに加え、羽生、山根の運動量豊富な動きで序盤のゲームを優勢に進めた。そして前半14分には、中盤のプレスで奪ったボールを堀之内が韓国ディフェンスラインの背後へ素早く送り、前線の太田がこれに反応して走り込んだ。この動きに対して、慌てた韓国DFがファールで太田を倒し、ペナルティエリア正面の好位置でFKを得た。キッカー山根のボールは美しいカーブを描いて韓国ゴールに吸い込まれ、日本が前半で早くも貴重な先制点を奪った。
 しかし、後半に入ると韓国は攻撃に転じ、長身の大型FWを3〜4人最前線に配置し、ロングボールを多用するパワーサッカーで日本ゴールに一気に迫ってきた。後半、暑さでスタミナ切れした日本は、ボールへの寄せが甘くなり、ゴール前へのクロスボールを自由に蹴り込まれ、防戦一方の展開となった。GK高原の好守もあって何とか試合終了間際まで粘った日本だったが、後半44分、ついに左サイドからのクロスボールに後半から途中出場した(10)イ・ジョンスが気迫溢れるダイビングヘッドで合わせ、韓国が同点に追いついた。
 延長戦に入ってからも韓国の猛攻が続き、日本はピンチの連続だった。何とか守り抜き、同点のままPK戦に突入。お互いに1番手が外したが、韓国の4人目(15)ファン・サンピルのキックをGK高原が超ファインセーブで防ぎ、結局4−3で勝ち、大苦戦の末に悲願の決勝戦進出を果たした。
 結果として勝負には勝ったが、後半のスタミナ切れでボールへの寄せやDFラインの押し上げがなくなってしまった点が大きな反省点として指摘される試合だった。

文責・乾 真寛(全日本大学選抜コーチ)

決勝 日本−オーストラリア戦 戦評
 
公式記録


オーストラリア戦・決勝システム  決勝戦の相手、オーストラリアはオープン参加のため、すでに試合前から日本の金メダルが確定しているという状況ではあったが、「予選リーグで一度負けている相手を今度は倒して、“完全優勝”を目指す」という強い信念で、日本チームは試合に臨んだ。グループリーグでの敗因分析から、日本はシステムを3−5−2とし、石川を今大会初先発の左MFで起用した。中盤での人数を合わせてオーストラリアのポゼションサッカーに対して、これまでチーム作りの基本としてきたプレッシングスタイルのサッカーをベースとして戦いを挑んだ。特に、相手最終ライン中央の(4)ミリセビッチとボランチの(6)スリョージを起点とするサイドチェンジやロングフィードをいかに抑えることができるかを課題に、積極的かつ組織的なプレスからボールを奪う戦い方を徹底した。
 さらに後半勝負というゲームプランから、FW深井、MF羽生を温存してゲームを進めた試合は、オーストラリアが長くボールは保持するものの、日本のバランスの良い守備により前戦へは有効なパスが出ないという、狙い通りの展開となった。
 そして前半26分、中央で太田のポストプレーから左サイド石川へボールが回り、石川からゴール前ニアーサイドに走り込んだ山根へピンポイントクロス。これを山根が身体をターンさせながら絶妙のボールコントロールで抜けだし、先制ゴールを挙げた。石川の起用とニアーサイドへの低いクロスという狙い通りの形で日本がリード。しかし、オーストラリアもその直後からラインを上げ、積極的な攻撃に出てきた。前半37分、中央に日本DF陣を一度集中させ、左サイド(7)パンテリスを使ったオープン攻撃からゴール前で高さを活かしたヘディングの折り返しと続き、最後は(19)パリジに押し込まれてあっさりと同点に追いつかれた。
 後半開始からFW深井を関根に変えて投入、さらに勝負どころの75分には羽生を投入した日本は、スペースに走り込むダイナミックな展開から数回シュートチャンスをつかむものの得点には至らず、ゲーム終盤を迎えた。そして82分、相手ペナルティエリア前の好位置で得た直接FKを、石川が得意の左足キックで見事に決め、2−1と勝ち越した。チーム全体での組織的な守備と集中力は最後まで途切れることなく、ゲームプラン通りの戦い方をパーフェクトに実行した大学選抜チームが、念願の東アジアチャンピオンとなり、昨年度からの長期的な強化策の成果を示すことができた最高のゲームだった。

文責・乾 真寛(全日本大学選抜コーチ)

予選ラウンド戦評

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