2001年 第3回東アジア競技大会 サッカー競技
College Soccer Central


予選リーグ 日本−グアム 試合レポート、監督・選手コメント



試合レポート
 
公式記録
戦評


グアム戦藤田シュート  シュート日本30本に対しグアム0。その数字が物語る通り、試合は終始日本ペースだった。日本は立ち上がりからDFラインを高い位置に押し上げ、積極的に攻撃を仕掛ける。なかでも、右サイド(2)平川と(8)藤田のコンビネーションの調子がよく、試合開始からチャンスを量産。試合を通して、日本の攻撃の起点となった。
 しかし初戦の戸惑いからか、日本はテクニック、スピード、ボールキープともにグアムを圧倒しながら、ペナルティエリア内でのタイミングを掴めずなかなか得点に結びつかない。6分にはGKが飛び出し千載一遇のチャンスを得るものの、(10)山根の判断が一瞬遅くシュートは枠の外。13分にもポストに当たったボールを(7)羽生がキープ、しかし羽生もシュートを宙に浮かしてしまう。
 完全に主導権を握りながらも、今ひとつリズムに乗り切れないといった感の否めない日本だったが、18分には(19)松浦が待望の先制ゴールを挙げる。羽生が右サイドをドリブルで突破し、DFとGKをひきつけたところで、逆サイドからフリーで上がってきた松浦にパス。ボールを受けた松浦のダイレクトシュートは、そのままグアムゴールに突き刺さった。
 この先制点で徐々に落ち着きを取り戻した日本は、さらに攻撃をスピードアップ。堀之内、山根ら中盤が早め早めににボールをはたくこともあって、両サイドがフリーの状態でボールをキープする場面が多くなってくる。また羽生、山根らが頻繁に行うポジションチェンジにグアム側がついていけず、日本はほぼノープレッシャーの状態でプレー。28分にはセットプレーからこぼれたボールをキープした藤田が、ペナルティエリアの外から強烈なミドルシュートを放ち2点目をゲット。所属のチーム事情もあり、ここ数ヶ月実戦を経験していないという藤田だったが、「少しでもアピールできれば」との言葉通り鮮烈なシュートで日本の攻撃を後押しした。しかしその後は多くの決定的なチャンスを活かしきれないまま、前半を2−0で終了。「久しぶりに(大学選抜チームが)集まったので、14日に大阪入りしてからずっと再確認をしてきたのだが、どうしえもゴール前への入り方が速すぎたり、逆にセンタリングのタイミングが遅すぎたりしてしまっていた」(日本・瀧井敏郎監督)との言葉通り、ゲームを支配しながらどうしてもチグハグな印象を拭えない45分間となった。
グアム戦山根  後半に入っても日本ペースは変わらず。時折、グアムがカウンターを仕掛ける場面もあったが、日本の中盤の激しいプレスにボールを奪われ、試合はほとんどの時間がグアム陣内で展開されることになった。48分には、右サイドで得たFKのチャンスに(5)三上がシュートを放つ。ボールはバーに当たったものの、逆サイドに詰めていた(16)関根がそのまま左足で蹴り込み3点目。デンソー・イタリア遠征前にケガをし、実戦に復帰するのは3月以来という関根だったが、「前半は空回っていたが、この1点で落ち着くことができた」というように、以降はチャンスシーンに度々を顔を出すことになる。さらに、56分にはリスタートからの日本の速い展開に焦ったグアムGKが、ゴール前に詰めていた松浦にファウル。PKとなり、これを羽生が右スミに決めて4−0とリードを広げた。65分には羽生に替えて(12)石川を投入。なすすべのないグアムに対し、さらにサイドからの攻撃を強化。70分にはゴール前中央突破の際に倒された関根がPKをゲット。これを山根が確実に決め5点目。さらにその2分後には、松浦に入ってFWのポジションに入った酒井が、左サイドで相手DFをかわしながらドリブル突破し、ファーサイドに絶妙のクロスを挙げる。このボールに、関根が豪快に飛び込み、この試合2ゴール目となる6点目を挙げた。
 その後日本は左SBの三上と(15)藤倉を替え、CBの(13)坪井をボランチのポジションに上げて3バックに変更。堀之内とのダブルボランチでさらに両サイドのポジションを上げるが、その後は得点できず6−0のままタイムアップ。ボールをキープできる余裕からか若干のケアレスミスは目立ったものの、後半はダイナミックな展開でゴールを量産。メダル獲得にに大きなはずみをつけた。

(写真左上=強烈なミドルシュートを放つ藤田。これが日本の2点目となった)
(写真右下=山根ら中盤の速いパス回しでグアムを圧倒)

コメント


■日本代表 瀧井敏郎 監督

 チームとしてはもっと攻撃のバリエーションやスピードがあるのだが、それが十分に出せなかった。1月にインドで行われた大会でのパフォーマンスからすると、まだまだという部分もある。各地域の春のリーグ戦などが大変厳しかったこともあり、チームにはけが人が多い。決勝までハードな戦いが続くだろうし、この大会で登録しているすべての選手が個性を活かせるよう考えて今日のメンバーを決めた。今日のメンバーがベストメンバーではないということではない。(深井、太田の)2トップがケガをしていたこともあり、(ケガから回復したばかりで)ゲームをできるばかりになった関根を起用したが、彼の一度消えてからゴール前に入るような動きを見たかったというのもある。
 インドの大会でいい試合ができたので、この試合ではチームのベースとなることの確認と、インドでの状況に戻すことをテーマとして臨んだ。チーム全体としては、マイボールになってからの展開とフィニッシュが課題。14日に大阪入りしてから、いろいろな約束ごとを再確認したのだが、突破のためのスペースが早すぎたり、ルーズボールがプッシュアップができていなかったので、今後はそうした点を修正していきたい。

■日本代表 関根秀輝 選手

グアム戦関根  前半から点を取ろうと思って空回りしてしまった。監督には“もっと自信を持って行け”と言われたが、後半1点とったことで落ち着いてプレーができるようになったと思う。(ケガから復帰して)まだ感覚が全然戻ってきていないので、ポジションの入り方とは本来の動きではなかったが、後半のあとのほうからは多少動けていたのではないかと思う。松浦との2トップは、松浦が裏に抜けるタイプなのでそのスペースを埋めてしまわないように気を付けている。自分的には足下で勝負するタイプだと思う。久しぶりのゲームだったので、やはり疲れた。明日1日コンディションを整えて次の試合に臨みたい。


■日本代表 藤田芳正 選手

グアム戦藤田  チーム事情でここしばらく試合をしていなかったので、体力的な面で不安があった。それまでも自主練習は続けていたが、やはり練習は練習で実戦とは違うので、チームに迷惑をかけないよう気を付けたが、やはり疲れた部分はある。攻撃に関しては、瀧井監督から、とにかくダイナミックに行けといわれていた。

Text/Photo:Reiko Iijima

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