予選リーグを2勝1敗の2位で突破し、波に乗る日本チームの相手は、今年の2002年ワールドカップ予選に出場するヨルダンA代表チームである。ヨルダン国内リーグの1位ファイサルから7名、2位のアルウェダットからの6名を中心に構成され、アルゼンチン人ヘッドコーチ、リカルド・カルガッティ氏がチームを率いる。平均身長は180センチ以上で体格を生かしたパワーサッカーを得意とし、変則的な3-4-3システムでDFラインからロングボールを蹴り込み、ルーズボールへの激しいボディコンタクトで単調だが破壊力のある攻撃を展開してくるチームであった。
一方、日本チームは攻撃のキーマン、FW深井が疲労と体調不良のためスタメンから外れ、太田のワントップで中盤を厚くする4-5-1でスタートした。ゲーム序盤からヨルダンの中盤を省略したロングボール攻撃が続き、日本は思い通りにボールをシンプルに動かす展開ができず、苦しい試合展開となった。瀧井監督の指示で吉村と山根のポジションをチェンジし、蹴り合いのサッカーではなく、素早いパスワークでボールを展開するように修正した日本は、徐々に山根、堀之内を中心に中盤を支配し始めた。そして前半30分、右サイドからのクロスボールを相手がクリアーしたが、こぼれ球を藤田が30メートルのロングシュートでヨルダンゴールの右上に豪快に蹴り込み、貴重な先制点を挙げた。
後半開始からヨルダンは勝負に出てきたが、55分右CKから太田がヘディングできれいに合わせて2点目を決め、さらにその3分後、三上の左サイドのオーバーラップからのクロスを吉村が左足でクリーンシュートし、一気に相手を突き放した。すっかり集中力の切れたヨルダンは、冷静さを失いラフプレーに終始し、退場者を出して完全に自滅した。さらに攻撃の手をゆるめない日本は、交代出場の関根がこの日3アシストの三上から送られたクロスボールを二アーサイドで見事に合わせ、大量4得点。守備陣も高原、小林、千代反田のセンターラインが安定した力を出して4試合で1失点。3試合完封勝ちの素晴らしい内容でついに準決勝に進出した。深井欠場のゲームを徹底したチーム戦術で乗り切り、チームはまたひと回り大きく成長した。新年早々、国際大会でのベスト4進出は大学サッカー界にとって、新たな夢と希望を与えてくれるビッグニュースとなった。
文責・乾 真寛(全日本大学選抜コーチ)
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