2003年 第22回ユニバーシアード・大邱(韓国)大会
College Soccer Central


準々決勝 日本−中国戦 試合内容、監督・選手コメント、写真



試合レポート
 
試合記録


中国戦システム  「中国は攻撃的なチームなので、DFが上がったその裏のスペースを狙おうと思っていた」。山崎、田代の2トップが口を揃えた通り、試合の序盤は日本が常に先手を打つような展開。8分には保坂のFKに合わせようと、ペナルティエリアまで上がっていたDFの村山が倒されてPKをゲット。このPKを山崎が「深く考えずに」思い切りよく蹴り、日本が先制点の奪取する。その後、中国にサイドから破られるシーンが2、3あったものの、全般的には日本が狙い通りの展開のまま前半を終了した。
 しかし、後半に入ると状況は一変する。中国は立ち上がりの10分に集中的に日本を攻め、あわやというシーンもたびたびあったが、これはDFの踏ん張りとGK塩田の好判断で得点まではいたらず。しかし、この攻撃で日本の攻撃のテンポが崩れたのを見越してか、その後中国が深く引いて守り、カウンターでの得点を狙い始める。結果、日本の攻撃は前半のようにうまく機能しなくなってしまう。
 「後半に入ってから疲れが出てきた部分もあるし、相手の思うような形でサッカーをさせてしまった」(西田監督)。こうした状況を打破するため、62分には試合序盤に足首を痛めて思うようなプレーのできない中田を下げて前田を投入。しかし、中国はこの交代から生まれた隙を見逃さず、DF・村山のクリアミスからボールを拾うと、交代したばかりのWANG Shengyuがペナルティエリアまで持ち込んでシュート。それまで数々のピンチを防いでいた塩田も、このシュートは防げず、試合は振りだしに戻ってしまう。
 日本はその後も、前田・堀が積極的に両サイドから攻めるも決定的なチャンスにまで結びつかない。むしろ、同点にして勢いに乗る中国がたびたびシュートを放ち、日本のゴールを脅かす。終了間際にはあわやというシーンもあったが、GKのカバーに入っていたDFがボールをかきだしてゴールを防ぎ、事なきを得た。結局、1−1のまま試合は終了し、勝負は延長戦なしのPK戦に持ち込まれた。
 状況的には中国に押し込まれる形となっていた日本だが、終了寸前に靱帯を痛めて交代した「田中のためにも勝とう」という気持ちが追い風となり、ひとりもミスなくPKを成功させていく。一方でGKの塩田も、中国の3人目と4人目のシュートが立て続けに防ぎ、結局4−2のスコアで日本が2大会連続のベスト4進出を決めた。

コメント


■西田裕之 監督

 中国はもう少し単調に攻めてくるかと思ったが、予想外に1タッチからの展開などもあって最初は驚いた。しかし、前半は狙い通りサイドから相手の裏のスペースをつく形が作れたし、結果PKも得られたと思う。
 後半は疲れが出てきたということもあるし、向こうがロングボールを前線に入れてくるようなサッカーになったので、まだこちらがディフェンスに戻りきれていないところをつかれるような形になってしまった。1点を入れられて同点にされてからは、とにかくマイペースに戻そうと思っていたが、なかなか戻せなかった。が、そのなかで田中をはじめとして、全員が身体をはったプレーでそれ以上の失点を許さなかったのが大きかった。
 一応、前日にPK戦の練習はしていたので、蹴る順番は予定通りだった。順番が最後だった岩政などは、自分までまわってこなかったのでホッとしているのではないかと思う(笑)。PK戦の前には、みんな(怪我をした)田中のために勝とうといっていたので、勝ち抜けて本当によかった。

■塩田仁史 選手
 PKは得意だし、日本のキッカーは全員決めてくれると思っていたので、これは勝てると思っていた。1、2本目のPKで、中国が助走を短くして最後まで自分の動きを見ているなということがわかったので、逆に3、4本目は相手の動きを予測して自分の動きを遅くしたら、相手のシュートも勢いが弱くなってシュートを止めることができた。

■村山祐介 選手

 PKをもらったシーンは、ちょっとひっぱられたのでオーバーだけど倒れてみたらPKを取ってもらえてラッキーだったと思う(笑)。今日の対戦相手の中国は、チェコに比べると高さはないけど、フィジカル面でどっしりとしていて、競り負ける部分もあった。グループリーグの南アフリカは、身長的に大きな選手は少ないけれども、ものすごい猛暑の中を個人技で突破してきて、今日とは違う怖さがあった。ただ、どちらのタイプがくるにしても、自分のサッカーで対応するだけだとは思っている。
 ユニバ代表にはオランダ遠征で久しぶりに合流する形になったが、課題としてコミュニケーションをきちんと取ろうということを言い合ってきた。このチームに参加するのは日韓戦以来だったけど、あのときはチームとして全然できていないという部分があったと思う。結果、この大会では大きな失点もなくDFラインも機能してきている。ただ、今日失点は僕のクリアミスからだったので、そのあたりは課題として繰り返さないようにした。
 次の試合では、1点を取ったからといって受け身になるのではなく、もっと攻撃的にいけるようにしたい。

■山崎雅人 選手

 今日の試合では、もっと決められるシーンもあったのにキチンと決めることができなかった。それが一番の課題。前半は相手が超攻撃的なチームなので、スペースの背後を狙えといわれていたし、狙いとしていたことはできたと思う。ただ、後半は相手が守備重視の戦術になったのに、切り替えて対応することができなかった。
 オランダ遠征のときにも手応えがあったけれど、今大会に入ってから自分の持ち味のスピードは通用していると思っているので、あとは決めるところできちんと決められるようにしたいと思う。

■田代有三 選手

 今日は最後にシュートで終われなかった。ドリブルでいったときも、最後にパスで終わってしまったので、次の試合ではちゃんとシュートで終わって1点を取りたい。途中で相手の戦術が変わったのでやりにくかったというのもあるけれど、足下で受けるべきところをファーで回りこんでしまったり、ちぐはぐな部分もあった。やはり、相手の状況に応じて動くのは、自分にとっての課題だと思う。
 目標は優勝だが、最低の目標であるベスト4が達成できたので、とりあえずほっとしている。

■保坂一成 選手
 チームとしても個人としてもオランダ遠征がひとつのポイントになったし、勝っていくことで自信がついて、チームとしての方向性も出てきたと思う。ボランチの田中とは、練習試合でも組んだことがなく、今大会でぶっつけ本番という形になってしまったので、試合前には常に確認をしあっている。ほかのボランチと組むときとそんなに違いはないが、田中はどちからといえば守備の選手なので、意識的に自分が少し攻撃に絡むようなつもりでいる。
 3試合連戦で、多少疲れはあるが、今日の中国にそんなに怖さはなかった。むしろ南アフリカの身体能力のほうがずっと怖い部分があったと思う。
 PKに関しては、前に蹴っていた中後のシュートを見ていたら相手のGKの動きがわかったので、自信を持って蹴れた。



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