2003年 第22回ユニバーシアード・大邱(韓国)大会
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大会直前御殿場キャンプ・インタビュー
西田 裕之 ユニバーシアード代表監督コメント
今までの強化キャンプは常にメンバーが入れ替わっているような状態だったが、代表メンバー20人が決まって、オランダでは非常に大きな成果を挙げられたと思っている。戦術面でも、全体が連動してプレスをかけるという動きが徹底され、2トップのアプローチも非常によくなった。試合ごとによくなってきているという感触がある。
事前の国内合宿で行ったFC東京との練習試合では、ボールを奪ってコンパクトな状態になってから展開に行き詰まるようなこともあったし、(ボールを)奪うべきところで奪えないというところもあったが、遠征でそうした点もうまく修正できたと思う。
オランダの2試合目は、2−2と引き分けたがやろうとしていることはできた。右サイドは人材が少ないので、この試合では(FWの)前田を右で試すこともしてみた。残り15分は相手が蹴ってきたので中盤が伸びしてしまい、かろうじて岩政が防いでいるような状態だったが、セットプレーの出会い頭から失点してしまった。全般的に守備はよくなったと思うが、ロングボールに対する守備というのは、今後も課題になると思う。
第3試合の相手は、オランダでJ2クラスの実力を持つチーム。もちろんトップチームだったし、大柄な選手も多く遠征の練習試合では一番強い相手だった。もともと、この3試合はユニバーシアード大会でのグループリーグ3試合を想定していたので、1勝2分ならグループリーグ突破と判断し、0−0の状態で残り15分間は3バック、3トップのシステムで戦った。今までやったことのないシステムだったので、どうしても前からのプレスが遅れたり、判断が遅れたりで失点してしまった。本大会ではどんな状況になるかわからないので、3トップのイメージだけでも掴めればと思っていたが、そこまではいけなかったようだ。
全般的に守備のコンビネーションはうまくいくようになったし、試合運びの面でもある程度手応えを感じることができた。ただ、オランダは非常に涼しかったし、この御殿場合宿も過ごしやすい天候だったので、“酷暑”を経験できなかったのが残念だし、唯一の不安材料といえる。その他の面では、けが人もいないし、チームはベストな状態。オランダで感じた手応えとチームイメージのまま、本大会を迎えられればと思う。グループリーグの対戦相手は、どこも情報不足ということもあるのでまずは初戦に集中し、初戦に勝つことだけを考えたい。
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■岩政大樹選手(主将・4年・DF) コメント
Voice
いよいよ大会直前っていう危機感と、メンバーが固定されたということもあって、オランダ遠征では、みんなにひとつのチームを作ろうという意識が出てきたかなと思います。
ディフェンス面では、まず高い位置から守備をするという意識を共有することが先決だから、試合や練習の中でコミュニケーションを取りながら修正したり、徹底したりしていました。オランダでは江添とも組みましたが、左右が違うだけで自分の役割はそう変わりません。ただ、江添が少し前に出たがるときもあるので、そういうときは少し僕がバランスを取る場合がありますね。戸川と組むときは、イーブンなボールはだいたい僕が取りに行くことが多いんですが、そういう意識も必要かな、と。それくらいですかね。
オランダではフィジカルの強い選手もいましたが、ハイボールに関してはほとんど負けなかったので、個人的には自信になった部分もあります。ただ単純なアタリの部分とか、もう少し身につけなきゃいけない面はあると思いました。海外で直接そういうことを感じられたのは、いい経験になったんじゃないかな。あとは、それをどう意識してやれるかだと思っています。
試合が少なかった分完璧とはいえないけど、チーム状態としては十分戦えるレベルにあると思います。連戦は苦しいといえば苦しいけど、大会が始まってしまえば慣れてしまうだろうし。慣れるまでが大変かもしれませんが、うまく体調管理ができればがんばれると思います。僕自身は、本当にひとつひとつ勝つというのをすごく意識しているんです。このチームは公式戦の機会が少なかったけど、逆に勝っていくことで変わっていくことのできるチームなんじゃないかと思ってます。勝って自信をつけることで見えてくる形というのもあるし、そこから次につながっていくんじゃないかと思う。
いい雰囲気ではやれているけど、もちろん不安がないわけではない。でもその不安の中は、勝つことでしか得られない自信っていうのもあるので……。とにかく初戦必勝体勢で行くしかないかな、って思っています。
■山崎雅人選手(4年・FW) コメント
Voice
オランダ遠征は、相手の身体が大きかったんでいろいろと勉強になりました。あと、今回は守備面でもいろいろといわれたし、引いて全員で守るというような練習もしました。だから、このチームでは結構守備面でがんばってると思います。そのかわり攻めてないんですけど、あんまり(笑)。
それと、オランダでは足元で(ボールを)止めたりしてたらすぐ潰されていたんで、なるべく相手から離れて受けて、前向いたら勝負するみたいなことは心がけていました。特に最初のほうの試合ではかなり潰されてたんで、コーチとかにも言われましたし。だから第3戦目とかはそこを修正して、少しは自由にプレーすることができたと思います。
僕は動き出すのをなるべく速くしてるんで、DFの裏とかスルーパスとかは意識してるんですけど、そういうパスが中後あたりからくるんでありがたいですね。あと僕の場合、大きいFWとコンビを組むことが多いんで、ヘディングの裏に抜けたり、スピードを活かせるようにしたいと思ってます。
■中田洋介選手(4年・MF) コメント
Voice
オランダでは、コミュニケーションの確認を絶対にやろうとみんなで話しあってきたし、コンビネーションの点やDFラインとのやり取りとかも徹底して話し合ったんで、チームとしてかなり意志統一ができたと思います。
(6月に国内合宿で)FC東京と練習試合をしたときは、サイドバックとサイドハーフの関係とか、FWとサイドハーフの関係がまだまだコミュニケーション不足で、どこまで行ったらいいのかといのが明確じゃなかったんですけど、オランダ遠征では徐々にタイミングが合ってきて、自分的にもすごいやりやすくなった。FWとのコンビネーションもよくなって、守備をしているときにしろ攻撃に行くときにしろ、全体的にやりやすくなったというのは感じましたね。
オランダでは3試合のうち1試合を休ませてもらったんで、そんなに疲れるようなことはありませんでした。でも本大会は、連戦で90分出場もあると思っています。逆に、そういうときにこそ自分の持ち味である運動量が発揮されると思うのでがんばりたいですね。それと、オランダで大柄な選手にアタリ負けるシーンもあったんですが、その前のポジショニングだとか、相手よりも一歩先に出てボールをカットするとか、その前の段階でかなり改善できることがあるんだな、と思いますね。正直、オランダでの対戦相手はそんなに強くなかったっていう印象があるんで……。3試合目の相手はプロだったし、ボール回しとかもすごくうまかったんですが、無茶苦茶強いという感じはなかったです。
自分の持ち味は裏に抜ける動きだと思ってるし、足下のボールは自分でもあんまり得意じゃないんで(笑)。足下よりも裏が空いていれば裏に抜けて、そこからヨーイドンみたいなことのほうが自分的には好きですね。ただ、そこらへんはケースバイケースなんで、なんともいえないですけ点ね。それと逆からのセンタリングのときは、FW2枚だけじゃなく自分もファーまで詰めて、流れてきたこぼれ球を狙うのはよくやっています。オランダの1戦目でも2点取りましたし、チャンスメークだけじゃなく自分でもゴールを狙えるポジショニングを、というのはいつも心がけています。
■田代有三選手(3年・FW) コメント
Voice
オランダ遠征ではやっぱり点を取れなかったんで……。シュートを打ってFWの役割をちゃんとはたすこと。それが一番の課題です。チーム全体の状況としては、結構いいと思うんですが……。
最後の試合の3トップというのは、残り15分くらいでやったんですが、結構いいプレッシャーをかけられて、点も入りそうな雰囲気だったんです。残り15分くらいだったら、ああいうのもいいんじゃないかなと思いますね。
初戦の相手はやっぱり身体能力が高かったり強かったりすると思うんですよ。ただそんなに組織的にくるほうじゃないんで、こっちがしっかりやれば勝てる相手だと思います。
DFラインからは、だいたいロングボールなんですけど、もう少し落下地点に入りやすいボールとか欲しい。あと中盤からはスルーパスとか出てほしいんですけど、オランダとかではあんまり出てなかったんで、そこらへんが出るように自分からもう少し要求していきたいですね。
■中後雅喜選手(3年・MF) コメント
Voice
オランダ遠征は、ひとことでいえばよかった。守備に関して成熟っていうか、自信を持てたというのと、攻撃の形も少しはできてきたかなって感じですね。フィジカルに関しては相手が強いのはわかってましたから、フィジカルコンタクトのときにはいつも以上に強く行きました。それでもまだ負ける部分はあったんですけど、前よりかは成長したかな、と。あとは強いパスと、常に相手のことを考えて次のプレーをするように意識していました。もちろんそれは日本でもやってることなんですけど、やっぱり海外では相手が強いですから。そういうところをいつも以上にちゃんとやらないといけないっていのは、改めて感じましたね。
オランダ行って、2試合ほどボランチを(保坂)一成と組んだんですが、中盤でのコンビネーションは相当よくなったと思います。基本は横のボランチなんですけど、とりあえずひとりはトップ下のポジションに入って、攻撃のときは縦の形になろうと。以前はトップ下のボジションのこぼれ球を拾えなかったことが多かったんで、セカンドボールを拾うためにひとりは前に出てトップ下のポジションに入ろうという感じで。スタッフには、自分が前に出たほうがいいとは言われているんですけど、すべてがすべて自分が行けるわけじゃないですから、やっぱり2人で声をかけあったり、お互い見てやっている感じですね。
(国内合宿での)FC東京との練習試合のときは、ボランチ間の連携もよくなったし、DFとの連携もよくなかった。でもオランダではそうしたコンビネーションの練習もしたんで、本当によくなってると思いますね。2試合目は結構ロングボールを蹴られたんですが、跳ね返せなかったときにDFラインと中盤のラインをコンパクトにして守るというのはできていたと思います。やっぱりそこが間延びしちゃうと相手にボールを拾われるんで……。3試合目は相手のボール回しがうまかったんですが、ひとりがボールに対してプレスに行って、もうひとりがそのカバーをするという基本的な練習の成果は出ていたし、守備面ではいい形ができてたんじゃないかと思います。
本大会は連戦になりますが、連戦自体は大臣杯でもやってるし、暑い中でやったこともあるんでそんなに問題はないかなとは思います。さすがに6試合連戦となると未知っていえば未知ですけど(笑)、そんなことも言ってられないじゃないですか。相手も一緒なんですから。
Text/Photo:Reiko Iijima
College Soccer Central
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2003年ユニバーシアード大邱大会