奇しくも昨年のインカレと同カードとなった総理大臣杯決勝。ギリギリで関東第5代表となり、今大会への出場権を手にした駒澤大だが、1回戦から深井、巻の2トップが好調にゴールを重ね、圧倒的な強さを見せつけている。また過去の対戦成績ではここ数年負けなしと、相性のいい国士舘大が相手なのも好材料だ。一方の国士舘大は、怪我人の多さに加えて関東選手権からの出足の悪さが気になるところ。
しかし、わずか開始1分でゴールを挙げたのは「出足の悪い」国士大だった。スピードのある鈴木(弘)がゴール前を突破してチャンスを作ると、ボールを受けた主将の久島が左サイドから技アリのシュートで先制。駒大の出鼻をくじく形となった。しかし、駒大はバラエティーに富んだ攻撃で国士大ゴールに迫り、23分に巻のクロスを鈴木(祐)がおとして増富が押し込み、試合を振り出しに戻した。その後はがぷりよつの展開が続き、1−1のまま折り返すかと思われたが、前半ロスタイムに左サイド相馬のクロスに前線まであがっていたDFの冨士がうまくあわせ、2点目をゲット。国士大のリードで前半は終了した。
国士大のあとを追う形となった駒大に転機が訪れたのは52分。深井が得意のドリブルでペナルティエリアまで持ち込み、同点となる2点目を挙げる。「深井のスーパーゴールでチームの雰囲気が変わった」と秋田監督も認めるこのゴールがきっかけとなり、駒大は以後、爆発的な得点力を思う存分披露。その3分後には左サイドを突破した深井のクロスを巻が合わせて3点目。「後半になったら、国士は運動量が落ちると思っていた」という秋田監督の読み通り、後半に流れを掴んだ駒大が見事な逆転をはたした。
こうなると手をつけられなくなるのが今年の駒大。68分には「今日は左右の両サイドがうまく機能した」(秋田監督)という橋本と中田のコンビネーションから、中田が国士大を突き放す4点目をゲット。なんとか反撃に出たい国士大もスピードのある山崎、白尾を立て続けに投入するが、一度駒大に傾いた流れはなかなか取り戻すことができない。終了間際の88分には、巻がヘッドで落としたボールを中田がシュート。中田の自身2ゴール目となる5点目で、試合は決定的なものとなった。さらにボールをキープした駒大は危なげないプレーで残り時間を過ごし、そのままタイムアップ。駒澤大が圧倒的な攻撃力を見せつける形で前大会の雪辱をはたし、5年ぶり3度目の優勝を達成した。
Photo/Text:Reiko Iijima
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