2001年 第75回関東大学サッカーリーグ
College Soccer Central


1部リーグ第3節 筑波大−駒澤大 戦評・コメント



戦評
 
公式記録


筑波大対駒澤大  ユニバーシアード代表候補選手を多く擁する、優勝候補筆頭2チームによる対戦は、その実力ががぷり四つに組み合い、リーグ前期の天王山ともいえる好試合となった。片方がボールをキープすれば、片方がカウンターを仕掛けるといった状況で、両者一歩も譲らず終わってみれば1対1のドロー。なかでも、双方得点を狙いにいった後半からは一気に攻撃がスピードアップし、目の離せない展開となった。
 両チームとも、序盤はお互いの出方をうかがいながらといった感じでスタートしたが、10分すぎに立て続けにアクシデントが発生。筑波大のCB・(6)千代反田が負傷し、14分に交代。一方の駒澤大も長身FWの(9)巻が混戦の中で頭部を負傷し、骨折の疑いがあるということで17分に交代。試合開始早々に双方ともに中心選手を欠く予想外の展開となった。巻の交代もあってか攻撃に若干の混乱の見られる駒大に対し、筑波大は速い攻撃で先制点を狙う。自慢のパスワークだけではなく、ペナルティエリアの外からも積極的にシュートを放ち、得点機をうかがう。しかし駒大DFラインの好守もあり、決定的な得点シーンを得られないまま前半は0−0で折り返した。
 後半に入っても依然ペースは筑波大。後半から(12)鎌田に代えて(13)今泉を投入。(5)石川とのコンビネーションで、左サイドからの切り崩しにかかる。また、攻撃の軸である(10)羽生が、トップ下からシュートを狙うばかりではなく、両サイドの攻撃にも絡み駒大のDFラインを翻弄。「あの時間帯はボランチの中後がバテてしまっていた」(駒大・秋田監督)こともあり、フリーでボールをキープすることのできる羽生が、筑波大のチャンスシーンを量産した。先制点が生まれたのも、そんな羽生のプレーから。63分、右サイドに走り込み、(27)武田からパスを受けた羽生が、そのままサイドをドリブルで突破。駒大DFを完全に振り切ったところで上げたクロスに、ファーサイドの(9)鈴木が反応。ヘディングで押し込み、待望のゴールを挙げる。この1点で流れは筑波大に行くかと思われたが、70分すぎに駒大は(11)橋本、(4)那須を一気に投入。なかでも目を惹いたのが、本来DFの那須をFWに起用するといった奇襲に近い采配だった。だが、那須のFW起用が結果として前線でのボールのキープポイントともなり、駒大が徐々に筑波大からボールを奪い始める。
 追加点の欲しい筑波大はボランチの(7)鶴見までもが積極的に攻撃に参加するなど、とにかく前に速くボールをつなぐ戦術を徹底。対する駒大も、(16)中田、(11)橋本らスピードのある選手がサイドからDFの裏に抜ける形が機能し始め、筑波大のDFラインに揺さぶりをかける。加えて、エースの(10)深井が相手からボールを奪って攻めるアグレッシブさを見せるなど、勢いに乗った攻撃で一気呵成にペナルティエリア内になだれ込む。
 そんな駒大の波状攻撃が点に結びついたのは77分。右サイド(4)那須からボールを受けた(16)中田がファーサイドにクロスを挙げる。一旦は筑波大DFにクリアーされたものの、 逆サイドにいた(12)古川がヘディングで叩き込み同点ゴール。試合は振り出しに戻った。  その後は、両チームともに激しいボールの奪い合いと攻防が繰り広げられ、見応えのある試合を展開。何度も決定的なシーンが訪れるが、DFの踏ん張りもあって双方ゴールを割ることのできないまま試合は終了。結果は引き分けだったが、優勝候補校同士の対戦らしい高レベルのサッカーが展開された好一戦だった。

(写真=筑波大のFW鈴木を、駒大エース深井(左奥)が追う)

コメント


■筑波大 山中邦夫 監督

 今年の駒澤大は展開が速いし、思った以上のチームだった。長身FWの12番に合わせる展開かと思ったが、パスの展開も動き出しも速くて正確。本当は勝ちたかったところだが、そういうチーム相手に引き分けただけでもよかったのかなという感じ。勝ちはリーグ後期に残しておくということで……。試合内容的には、前半はよくなかったが後半の中ごろくらいからDFが落ち着いてきて、そこかれ展開できるようになってきて、流れが出てきたと思う。ただ先に1点を取っても、その他のチャンスでキチっと決めなければダメだと思う。

■筑波大 羽生直剛 選手

筑波羽生  調子は決してよくないし、試合全体を通してはやりにくい部分もあったが、得点に絡むことができたという面では満足している。去年はサイドハーフで、アプローチの要求とかが厳しくてなかなか攻撃に絡めなかったが、今年はオフェンシブな位置でプレーしているので負担が比較的軽く、積極的に攻撃に参加できてやり易い。ただ、後半途中からは体力面の問題もあってプレーの質が落ちたので、今後は90分間続けられることが課題だと思う。また、一時的に10人になったときなど、攻守の修正ができずにあたふたしてしまうシーンがあったので、そのあたりは完璧にしていきた。


■駒澤大 秋田浩一 監督

 正直勝ちたかった試合だが、チーム全体に“勝とう”という意識が見えたので次の試合につなげることができた。今までは特に“勝ちたい”と思うのが1人、2人といった状況だったが、今日の試合ではチーム全体に勝とうという意識が浸透して、チーム全体が変わったと思う。得点した古川に関しては、練習試合でもそれなりにやれているので不安はなかったが、実は今回ベンチメンバーから外そうかどうか悩んでいた。巻の負傷があっての途中出場だったが、入れておいてよかったと思った(笑)。後半に選手2人を一気に代えたのは、“勝つため”だし、その気持ちをピッチの選手に伝えたかったから。那須のFW起用については、“負けていたらFWで行く”というようなことはいっていた。次節の相手の東学大は、一生懸命やってくるチームなので、ウチもそれ以上にがんばれる選手で臨みたいと思う。

■駒澤大 中田洋介 選手

駒澤大中田  前半は、自分の特徴である相手の裏に抜けるプレーがあまりできなかった。1対1での勝負からチャンスメークすることもできなかったが、後半に右サイドに行ってからは自分らしいプレーもできたと思う。今日はグラウンドがスリッピーだったということもあるが、イージーなミスもあって決定的なチャンスをモノにできなかった。追いついたことは満足しているが、あと1点が取れなかったのが弱さでもあると思う。筑波大に先制点を取られる形となったが、点を取られても焦るなということと、いずれ必ずチャンスがくるということは言われていたので、そんなに焦って攻撃することはなかったと思う。自分の代わりになる中盤の選手はたくさんいるので、あまりスタミナのことなどは考えずに、前半からガンガン攻めるようにしている自分では心がけているつもり。次節からは試合ごとの間が短くなるので、コンディションに気を付けていきたい。


■駒澤大 那須大亮 選手

 今日は苦しかったし、できれば勝ちたかったとは思うが、引き分けで勝ち点1を取れたのはチームにとって大きかったと思う。FWは1回もやったことがなかったので驚いたが、やってみてある程度はできるという感じはした。次に出るとしたらDFだとは思うが、流れの中での攻撃参加などのやり方は掴めたと思う。ただ、DFで出る以上は0点に抑えられるようがんばりたい。

Text/Photo:Reiko Iijima

College Soccer Central 2001年第75回関東大学サッカーリーグ 第3節結果