決勝は、2連覇を狙う吉備国際大学と、近年、着実に力を付けてきた福山大学の対戦となった。 決勝までの両チームの闘いぶりから、福山大学がやや優勢かと予想されたが、昨年優勝の吉備国際大学も、ツボを心得た試合運びで、前半立ち上がりは互角の展開となった。しかし、コーナーキックから福山大学が先制点をあげ、次第に福山大学のリズムが良くなり、押し込む場面が多くなった。後半、必死で追いつこうとする吉備国際大学だが、ラストパスが不正確で、決定的チャンスがなかなか作れない。時折、FW高松(剛)の突破などもあったが、単発に終わる。一方の福山大学は、全員が高い能力を持っており、しかも、チームとしての戦術理解がよくできていて、攻撃では、吉備国際大学DFラインの裏を再三突き、守備では、パスの出所を確実に押さえ、危なげない闘いをしていた。後半も終了近く、吉備国際大学が全員で攻めに出たところを、速攻で追加点をあげ、試合を決めた。 全員が高い能力を持っていて、穴のない福山大学は、近年の中国地域代表の中でも、1995年の広島大学に優るとも劣らない、全国で戦える予感を抱かせるチームではなかろうか。 主将として、チームをまとめるFW白上(4年・山陽高出)、豊富な運動量で攻守の中心となるMF大坪(3年・三潴高出)、的確な判断でディフェンスラインを統率するDF中島(3年・三潴高出)、そして、守護神で精神的支柱のGK萩原(4年・松永高出)らを中心ラインに置き、その周りをしっかり固められる選手がおり、非常にバランスの良いチームである。1994年に初出場を果たしているが、就任6年目の吉田卓史監督になって、初めての全国大会出場である。理論派の吉田監督の手腕がやっと実を結んだ。 1回戦は、関東1位の筑波大学との対戦であるが、近年、他地域に比べ、出遅れている感のある中国ではあるが、一泡吹かせてくれることを期待している。 文:全日本大学サッカー連盟技術委員 坂井 学