――リーグ戦開幕まで約1週間となりましたが、チーム状態はいかがですか。
夏の合宿を終えてやるべきことはやってきたと思っていますけど、練習試合になると結果が伴わないというか、試合の出来にもムラがある。やっぱりリーグ戦7試合を通してやったときに、ムラがあるチームというのは不安じゃないですか。だから、いまは期待と不安が入り交じった状態です。でも、別にいまから新しいことを始めるわけじゃなくて、いままでやってきたことを原点に帰ってもう一回確認して、問題をクリアにする。いままでやってきたことができるレベルにしてリーグ戦に臨もうという、最後の確認の段階に入っていると思います。
――戸塚選手個人の調子は? マークが厳しくても「去年より得点もアシストも増やしたい」ということですが。
毎年、春はあんまり調子がよくないんですけど、夏を越えて、なんていうか、またゴールに対する精度も、クロスもシュートも精度が上がってきていると思います。あとはやっぱり4年生になってからケガがちだった部分もあったんで、ある意味で7試合90分間はチームを支えるためにも自分のためにも出続けなきゃいけないっていうのが、小さな目標でもあるんですけど。
――昨季と今季のシステムを比べると、ボランチが2人から1人に変わりましたね。大石監督は「より攻撃的に戦いたいので」とおっしゃっていましたが、そのシステム変更がうまく機能しているという手応えは?
中盤を(ボランチ1人の)ダイヤモンド(型)にしたのも、相手にできるだけスペースを与えないというかバランスよく守ることでコンパクトに保って、相手に攻める隙を与えないということがまずひとつの目的ですけど、それはできてきていると思います。あともうひとつ、オフェンシブのポジションにひとり置いたっていうのは、やっぱり速攻にしてもなんにしても、トップにクサビを当てたときにより近いサポートができるという意味で、そこのポジションが必要だったというのがあるんです。選手の個性もあるんですけどね。チーム全体の意図としてはそういった理由で、そういう意味ではすごくマッチしてるかなあって……。あと、個人的なところでいったら、タケ(渡辺武彦)がすごくワンボランチでも存在感を示せる選手になってますし。
――リーグ戦ではどんなところをアピールして勝っていきたいと思っていますか? まずチームとしては。
レベルの高い選手のいるチームが多い関東大学リーグのなかで、慶應が勝っていけるポイントは何かっていったら、やっぱり切り替えの速さだったりとかそういう部分だから。そこで上回っていかなかったら試合の主導権も握れないし、勝ちにつながらないっていうのがあるので、春先から「切り替え」というのはずっとテーマに挙げてきていました。アプローチを速くして厳しいディフェンスをして、相手をゼロに抑えるのが前提になります。そこでボールを奪ったら、速い切り替えで売りの速攻というかカウンターで点を奪いにいくっていうのが、やっぱり勝ちパターンではあると思うんで。
――それでは、戸塚選手個人のアピールポイントは?
やっぱり、いままでの左サイドでの仕事っていうのを、よりレベルを上げてきたと思っているので。シュート、クロス、突破、あとはもっと単純なところでいったら、ボールの受け方だったりポジショニングにしてもそうですし。そういう意味では別にいままでとなんらやることは変わんないけど、そのひとつひとつの質は少し考えるようになったし、よくなってると思います。
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2000年関東大学サッカーリーグ
慶應義塾
戸塚 健選手(4年・主将)
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慶應義塾体育会ソッカー部が、ここ20年来果たせなかった「3年連続1部定着」。その“壁”に挑んだ昨年の入替戦、東京農業大の猛攻に苦戦し、再試合となる引き分け目前の窮地に陥ったチームを救ったのは、戸塚健の決勝ゴールだった。早くから中心選手として慶應を支えてきた戸塚は、3年連続で1部リーグを戦うことになった今季、主将としてチームを引っ張っている。秋のリーグ戦直前、合宿所をたずねて彼の胸の内を聞かせてもらった。
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Text&Photo:Keiko Akanuma
Photo:Reiko Iijima
2000年9月初旬取材
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