関東大学リーグ2000 キャプテンインタビュー
College Soccer Central


慶應義塾

戸塚 健 (2)



――去年の夏にお聞きした「僕は大学でサッカーをやるために慶應に来たんです」という言葉は、とても印象的でした。サッカーをやるために慶應を選ぶ選手は珍しいと思うんですが、どのような理由で?

 入る前に大学の話はいろいろ聞いてて、結局、推薦で慶應に入ったんですけど、ぎりぎりだったんですよ、勉強のほう(の推薦入学)だったんで。もともと大学で勉強しようと思っていて、大学でサッカーをやるんだったら、慶應かもう1校(当時関東大学リーグ1部在籍校)でやりたいと思ったんです。それで話をいろいろ聞いて、慶應のサッカーもちょっと見て。学生だけでやっているんだっていう部分もあったり、いまは2部にいるけど、いつかは1部でやってみたいっていうのもあって、それでまあ運命っていったら変だけど、なんかそこで慶應を選んだんですよ。それがいまいいのかっていったら、たぶん間違っていなかったと思うんですけど。

――確か、ご実家はご商売をされているんですよね。

 鰻屋さんです。後継ぎなんですよ。たぶん、もう100年ぐらい続いているから、大変なことをしてるみたいですね、僕は(笑)。でも「好きなことをやれ」って言う親なので、別にあんまり……。気にしてないのか口に出さないのかわかんないですけど。

――高校を卒業するとき、プロや社会人チームからの誘いはなかったんですか?

 いや、特にないですね。もう、進学校だったんで。高校に入るときは、清水のほうに飛び出そうか地元で普通にサッカーをやろうかっていうのをまず迷ったんですが。まあ、こっち(関東)だったら、たぶん思い切って強いサッカーチームのある高校に行くことも考えられたと思うんですけど、当時田舎に……田舎っていうか、まあ静岡のほうで育って、あんまり自分の地区を離れて高校に寮に入って通うっていうイメージがなくて。家の学区に普通に進学校があったんで、そこでサッカーやってればいいかなあって思って。
戸塚1999年関東リーグ
1999年関東大学サッカーリーグ


運命っていったら
変だけど
慶應を選んだ


戸塚1998年関東リーグ
1998年関東大学サッカーリーグ


大学サッカーっていうより
僕にとっては
慶應ソッカー部が大きな存在


――静岡県のようにサッカー環境がしっかりしているところだと、ある程度うまい人はわりと強豪校に行きたがるんじゃないかと思うんですが。

 ああー、それはありますね、やっぱり。僕、小学校のときは浜松JFCでやってたじゃないですか。それで、中学とかもまあ普通に県選抜に入ってやってて、同じ西部(地区)でやってたヤツらは、Jユースに流れたりだとか清水のほうに行ってたりしてたんですけど。……うーん、逆に僕は、小学校とか中学校のときは浜松もけっこういっぱい強いチームがあるのに、高校になって浜松が弱くなるのは悲しいなあっていうか、そういう思いもなくはなかった。なんか、……結局、絶対的に強いチームには行ったことがないんですよね。

――そうやって静岡でサッカーをやってきて、慶應に入ったときはすごくギャップを感じたんじゃないですか。

 いやあー、もちろんありましたよ。レベルの問題もありましたけど、何よりやっていこうっていう気にさせたのは、やっぱりみんな、なんだかんだいってスゴイ熱心なんですよ。実際、4年生になって、コフル(古川秀範)もそうだけど、慶應の付属校の連中が試合に3、4人とか絡んできたりして、みんな努力して1部の舞台に普通に立って対等に戦えるメンバーに育っていくっていうか、ホントそれだけ頑張るんですよね。だから、……まあ、まだまだ結果を出していないから、そんな大きなことは言えないんですけど、いつか実るんじゃないかっていうか、その頑張ってる姿勢があれば、いつかなんとかなるっていうのはありましたね。

――大学でサッカーをやったことでの収穫を、現時点で挙げてもらうとすると?

 やっぱり、大学サッカーっていうよりも、……僕にとってはこの慶應ソッカー部がホント大きな存在であって、いままで自分だけ中心でやりたい放題やってたっていう自分から、もうひとつ周りのこと、チームのことを考えて、それで自分を成長させてくれたなあっていうか。なんか難しいんですけど……、うん。

――自分の成長とともにチームも成長しているという実感はありますか。プロと違って毎年選手が入れ替わるので、毎年リセットがかかってしまっているような状態ですけど。

 ホントにイチから作れたっていうか、冬の段階でこんなチームを作っていきたいって思って、ここまで自分たちのやりたいように運営できたから。(長田)航(=グランドマネージャー)なり僕らなりでやっていくしかないなかで、グラウンド面だけじゃなくてチームを運営するすべての面においていろいろ学べた。それは、サッカーをただやってるだけよりも絶対大きなことだと思います。

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