高校３年の正月に市立船橋高校で全国優勝し、日本高校選抜に選ばれて海外遠征を経験。帰国して合流した青学という新たなチームで、春からいきなりレギュラーをつかんだ。しかしリーグ戦では、同じ１年生だったＧＫ小澤浩二、ＤＦ松野浩一が全試合フル出場し２部優勝に貢献したのを横目に、すべて途中から５試合の出場に留まる。それから３年……。相手チームのマークもますますきつくなり、苦難の年月だったように思われたが、自身は常にしっかりと自己を見つめ、自分のペースで着実に前へ進んでいた。プロとしてサッカーを続けていこうということを、全く意識していなかったという下級生の時代。しかしその頃から、“より高いものを目指す”という姿勢は、自然に持ち合わせていたのかもしれない。彼は、試合後に満足気な表情を見せたことがない。負ければもちろんのこと、勝った時でも、である。それは、常に“今以上”を追求する姿勢の表われだ。今年は青学サッカー部での集大成を見せる年。彼が追求してきたものすべてを表現する試合……。最後のシーズン、そういう試合をきっと見せてくれるに違いない。

（この回了）