大学サッカーメルマガVol.227を配信しました。

今回の大学サッカーメルマガは、インカレ準決勝「大阪体育大-専修大」「国士舘大-鹿屋体育大」のマッチレポートです。

《今号の掲載内容》
★インカレ準決勝:大阪体育大 3(前半2-1)2 専修大 マッチレポート
★ 同 フォトギャラリー15点
★インカレ準決勝:国士舘大 2(前半0-0)0 鹿屋体育大 マッチレポート
★ 同 フォトギャラリー12点

今号はマッチレポートを全文転載します。


★大阪体育大 3(前半2-1)2 専修大

 インカレ準決勝の第1試合は、関東リーグ優勝の専修大と関西リーグ優勝の大阪体育大。期せずして、関東・関西のチャンピオン対決となった。試合は、関東リーグ得点王・仲川輝人のゴールで専修大が先制するも、その後大阪体育大がリーグMVP澤上竜二のゴールを含む3点を奪取して逆転。試合終盤には専修大も猛攻で1点を返すが、大体大GK・村上昌謙の好守もあって3対2でタイムアップ。大体大の澤上、伊佐耕平という強力な2トップを前に「あれを止められる守備力はウチにはない。それを上回るゴールをあげるしかない」と言っていた専修大・源平貴久監督だがったが、結局、専修大らしいパスワークも攻撃力も封じられたまま、インカレの場を去ることとなった。

 試合の幕開けは専修大・仲川のゴールだった。開始早々の4分、エース・長澤和輝のパスをFW前澤甲気が流し、仲川が得意のドリブルで前線を切り裂いてそのままシュート。しかし「あの1点で目が覚めた」というのは、大体大の坂本康博総監督。その後の大体大の戦い方は、見事の一言につきた。専修大の長澤、下田北斗といったパサーの動きを完全に封じると、素早い寄せで専修大を囲んでボールを奪う。坂本総監督曰く「攻撃的にボールを奪う。そのため数10センチ単位でステップワークの練習をしている」という大体大のサッカーが専修大のパスワークを上回り、主導権を奪取。中盤での攻防戦に競り勝ち、ボールを支配する。

 大体大・池永航主将が「向こうはシステムを変えて、かみ合っていないようだったのでやりやすかった」というように、専修大は準々決勝でセンターバックの河津良一が負傷してこの試合に出られなかったことも痛かった。「河津なしで4バックではもたない」(源平監督)ことから3バックに変更。伊佐、澤上のマークを試みるも、結果的にはこれが機能しなかった。また、3トップを仲川と前澤の2トップに変更したことで、「サイドで起点が作れず、相手を自由にさせてしまった」(仲川)。

 いつ、大体大が点が敗ってもおかしくない展開。それでもかろうじて先制点を守っていた専修大だったが、37分、ついに失点を喫する。右サイドを抜け出した澤上へのプレーにファウルがとられ、大体大がFKのチャンスを得る。キッカーは山本大稀。ファーサイドに放たれたキックを、澤上がダイビングヘッドで押し込み大体大が同点に追いつく。

「練習で何度もやっている形だが、この大会では特にうまくいっている」(澤上)という山本とのコンビネーションで生まれたゴール。これで澤上は初戦から3試合連続、6ゴールと得点ランキングでもトップを走っている。2年生ながら関西リーグMVPを受賞したエースのゴールに、さらに大体大が奮起した。終了間際の44分、ボランチ・國吉祐介のシュートを専修大GK・福島春樹が弾いたところに、今度はFWの伊佐が詰めて2点目。大体大が逆転し、前半が終了する。

 主導権を握られたうえ、1点を追う立場になった専修大は、ハーフタイムに選手2名を一気に交代。DFの玉田道歩を下げ、北爪健吾と小口大貴をそれぞれディフェンスラインに戻して4バックに変更する。さらにボランチの星野有亮を下げ、中盤の北出雄星とFWの山川翔也を投入し、3-5-2から前の試合と同じ4 -1-2-3のシステムに。「4バックでは大体大の2トップにやられるから3バックにしたが、負けている以上攻める必要があった」と源平監督。しかし、システム変更をして前がかりになったところを、大体大につかれる結果に。後半開始早々の47分、左サイドを難なく突破されると、山本のボールに1年生の池上丈二が合わせて大体大が3点目をマーク。リードを2点差に広げた。

 その後も積極的な仕掛けでゴール前に迫っていた大体大だったが、「3点目をとってから少し守りに入ってしまった」と澤上。少しずつ専修大が攻撃を仕掛けるシーンも目立ってきたが、高い位置やサイドで攻撃の起点を作ることができない。69分には左サイドバックの小口を下げ、縦への突破力のある後藤京介を投入。巻き返しをはかるが、澤上、伊差にボールが入ると一気に決定機を作られる怖さからか、結局はショートカウンターや単調な攻撃に終始することになった。

 それでも試合終盤には細かく崩してシュートまで持ち込み、専修大らしさが出てくるが、大体大GK・村上昌謙の好守もあってどうしてもゴールを割ることができない。ようやく1点を返したのは82分。左サイドを突破した後藤からのボールを長澤が収めると、北出が前線に飛び込んできて合わせてゴール。その差を1点差とする。

 残り時間は約10分。ここから専修大が猛攻を開始する。84分には長澤がフリーでぬけだしシュートを放つがこれはゴールの左枠外へ。終了間際の88分には右からのクロスに後藤がGKと1対1になる決定的なシーンを迎えるが、これもGK村上がビッグセーブ。ロスタイム突入後の山川のシュートも村上がストップし、最後の最後のチャンスと思われた下田の右からのミドルシュートはスライスして、わずかにバーの上。どうしてもあと1点が入らない。専修大の猛攻も実らず、タイムアップ。大体大が2トップの攻撃力とタイトな中盤での守備で専修大を最後まで自由にさせず、28年ぶりとなる決勝進出を確定。28年前の大阪商業大との同時優勝を越える、初の単独優勝へと踏み出した。

 3年ぶりのインカレタイトル奪還の夢かなわずベスト4敗退となった専修大。源平監督は「準々決勝で、ビハインドを食らいすぎた」と肩を落とした。センターバック河津の負傷と、悪天候の中で明治大と120分戦った影響は小さくなく「立ち上がりはよかったが、その後はまったく動けていなかった」(同監督)。守備力への不安はリーグ戦からの課題だっただけに「それを上回る攻撃力」が必須だったが、「前半最後の失点が余分だったし、3点目も簡単にやられすぎた」ことが最後まで響いた。

 涙を流しながら3位表彰の場にたった仲川は「今日は受け身になりすぎた。相手の2トップは確かに強力だったが、3点目を取れなかったことがいちばんの敗因」と自分が2点目、3点目をあげられなかったことを悔やんだ。来年は最上級生となるが「今日の試合をみても、3年生の力がまだまだ足りない。リーグ連覇を自分たちの代でとぎれさせたくはないし、初の総理大臣敗、インカレ奪還も含めて3冠をとれるよう、もう一度自分たちのサッカーを見直したい」と誓った。

 専修大のお株を奪うようなパスワークとプレスで東西対決を勝した大体大。3試合で11得点という爆発的な攻撃力に加え、その約半分にあたる6ゴールをあげている澤上の実力は本物だ。押し込まれた時間でさえ、澤上にボールがわたると一気に流れが変わるのが見て取れた。

 主将の池永は、「前半は攻撃的な守備という自分たちの持ち味が出たし、相手の7番(長澤)と8番(下田)にうまくプレッシャーをかけられた」と試合展開にも満足顔だ。「専修大は関東でも抜けた存在だと聞いていた。総理大臣杯では関東のチーム(明治大)に大敗していたので、ここで勝ててよかった」と喜ぶが、「後半相手のペースを許して失点してしまったのは反省点」との修正点も自覚している。

 決勝の相手は、粘り強い守備力と一瞬の縦への速さに優れた国士舘大。リーグ戦では圧倒的だった専修大が黒星を喫した、数少ないチームだ。準決勝とは違うタイトな展開が予想されるが、そこを自慢の2トップがどう崩していくのか。「まだまだ満足はしていない」(坂本総監督)という大体大の本当の力に注目したい。

(フォトギャラリー《写真15点掲載》はメールマガジンに掲載)


★国士舘大 2(前半0-0)0 鹿屋体育大

 リーグ前期の国士舘大に蔓延していたのは、なにをやっても勝てない、自信のなさだった。一時は最下位にもなり、「2部に落ちては仕方がない」とテクニカルアドバイザーとして急遽現場復帰を決めた大澤英雄元監督は、選手たちに「サッカーの守備の基本」をたたき込んだ。それが「11人全員が1対1で負けないこと」だ。「1対1で負けなければボールを奪われない。ボールを奪われなければ負けることはない」(大澤テクニカルアドバイザー)というごくシンプルな指導に、自信を失っていた選手たちはすがりついた。リーグ前期にゲームキャプテンを務めていた吉田吏玖は「それこそ藁をもつかむ思いだった」と笑う。

 まずは1対1、そして運動量で負けないこと。選手たちにそのふたつが“絶対の自信”として備わってから、国士大は大きく変わった。「押し込まれる展開はなれている」と主将の石川喬穂がいうように、この試合でも、長い時間ゲームの主導権を握っていたのは鹿屋体育大だった。前半こそタイトな攻防戦でチャンスを作っていたものの、後半に入ってからは鹿屋大が中盤から前線を圧倒。ラインを高くし、両サイドから攻撃を仕掛けてチャンスを作ると、2トップに加えて2列目の小谷健悟やボランチの福田晃斗、中原優生らが次々とシュートを放つ展開に。

 しかし、国士大はそのいずれをもセンターバックの今瀬淳也、仲島吉貴らを中心に跳ね返しゴールを許さない。「DFと中盤の間が空いていたので、後半はそこに浮き球を入れるよう指示をした」というのは鹿屋大の青木竜監督。狙い通りのサッカーを展開していたものの、「ペナルティエリアに侵入するところの制度とアイディアに乏しかった」。65分には左サイドの福森を下げ、「パンチ力があるから遠目からでもゴールを狙える」湯浅寿紀を投入するも、ゴールは遠かった。

 対する国士大は、鹿屋大に主導権を握られたことに加え、27分には平松宗が、56分には新村武玄の2トップが次々に負傷。それでも「自分たちの運動量を信じていた」と石川。残り10分を切り、鹿屋大に疲れが見えると一気に反撃を開始する。まずは84分、相手からのルーズボールを拾ったボランチの橋本拓門がゴール前にロングパスをあげると、これに平松に代わって入った福田真也が抜け出す。「キャプテンをはじめみんなに、チャンスがきたら決めてくれと言われていた。絶対にチャンスがくると思っていた」(福田)。ついてきたDFをかわし、そのままゴール右に抜けると、「1本目(のチャンス)はインサイドで蹴って失敗したので、反省して今度はインステップで」ゴール左スミに決めて先制点をあげる。

 試合終盤での失点に焦りを隠せない鹿屋大に対し、国士大はさらに追撃をかける。終了間際の88分、松本和樹のFKをクリアしたボールを拾った1年生の田中智也が「とりあえず打っておけと思ったら入った。自分でも驚いた」という鮮やかなミドルで2点目をマークし、リードを広げる。

 厳しい状況に追い込まれた鹿屋大はFWの米良知記を下げて寺田匡史を投入。さらにセンターバックの坂田良太を前線にあげるパワープレーで追いつこうとするが、堅固な国士大の守りを崩しきることなく試合終了。国士大が2002年以来13年ぶりとなる決勝進出となった。

 昨年に続き、またもやベスト4の壁を越えられず西が丘で敗れることになった鹿屋大。青木監督は「内容的にくやしい展開だった」としながらも「前線で崩しきれないという年間を通しての課題が出た。先制点が取れたら自陣で回して……といった青写真ばかり描きすぎていて調子に乗りすぎていたのかもしれない。選手に責任はない」と奮闘しながらも勝ちきれなかった選手をかばった。

 これまでもコーチとしてチームに関わってきたが、監督に就任しては1年目。総理大臣杯では明治大に4対0と大敗し、インカレでも関東代表の国士大に敗れる結果となったが、「昨年のインカレで5-0で早大にやられたときとは内容的にもまったく違う。チームも成長したし、選手たちには楽しませてもらった。感謝している」とさっぱりした顔で語った。優勝カップに関門海峡を越えさせるという目標はかなわなかったが、九州の存在感を見せつけたことは間違いない。

 一方、どん底の最下位からついに決勝までのしあがってきたこく国士大。試合中にはFWふたりが負傷というアクシデントに見舞われたが、準々決勝ではGKの小澤章人が脳しんとうを負い、一時的な記憶障害になるなど、トラブル続きの中でも試合だった。しかし、交代出場した福田と田中がきっちりと結果を出し、インカレ初出場のGK久保田晃次もすばらしい反応とキャッチングで鹿屋大のシュートをストップした。久保田は「今瀬と仲島が1対1を強化してやられないようにしてくれていたので、そこは絶対に負けないという安心感があった」とDF陣への信頼を口にする。「ベスト4はどのチームの実力も紙一重。2点差はいちばん危ないということはわかっていたので、自信をもって声を出したいた」と初出場らしからぬ安定感でチームを支えた。「誰が出ても同じ」という石川主将の言葉どおりに、全員でようやく手にした“国士大のサッカー”で決勝までたどりついた。

 大澤テクニカルアドバイザーは、現場に出たときに選手たちから声をかけれれたときのことを、今でも覚えている。まずは崩壊した守備の建て直しだけをアドバイスつもりで現場に戻ったが、逆に選手たちから「勝てるチームにしてほしいと言われた」という。しかし「よくどうやったら勝てるのか、立て直せたのかと聞かれるが、そんな方法があるわけない」と一刀両断。「攻守の原則は3つくらいしかない。まずはそれを徹底して、それを飽きさせないように練習させただけ。現代的なサッカーを身につけさせるのは、それからではないのか」と形にとらわれがちな現代サッカーに警鐘を鳴らした。

「今日はディフェンスが守るべくして守ってくれた。それは、チーム全員が彼らを信頼していたから。信頼と誇りをもってサッカーをすることがいちばん大切」と大澤氏。かつて、主将の石川は「以前負けていたころは、国士大のサッカーはこれだ、ということを自分たちで明言することができなかった」という。しかし今は違う。走って、奪って、大きな展開でゴールを狙う。「国士大のサッカーで日本一になりたい」誰もが口をそろえるその言葉には、自分たちのサッカーへの絶対的な自信と誇りがあった。

(フォトギャラリー《写真12点掲載》はメールマガジンに掲載)

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